転職のことを考え始めたとき、まず頭に浮かんだのが「勉強しないとまずいかも」でした。いきなり求人に応募する勇気はない。でも、このまま何もしないのも落ち着かない。
だから、机に向かう。本屋で資格コーナーを眺めたり、YouTubeで「未経験転職 おすすめスキル」みたいな動画を見たり、SNSで「これからは〇〇」みたいな投稿を追いかけたり。
…たぶん、こういう人、けっこう多いと思います。
ただ、30代の転職って「最初の勉強」をわりと間違えやすいんですよね。僕もそれをやりました。今思うと、あれは遠回りだったな…と感じます。
今日はその話を、なるべく“ふつうの言葉”で書きます。正解を押しつけるというより、「こういう落とし穴あるよね」を一緒に整理する感じで。読み終わったときに、頭の中がちょっと静かになって、次の一歩が見えやすくなる。そんな記事にしたいです。
先に結論だけ言うと、こうです。
30代が最初に勉強すべきことって、スキルそのものより先に、頭の中の“整理”かもしれません。
いきなり「何を学ぶか」を決めると、だいたい迷子になります。先に、
何を変えたいのか
どんな働き方が嫌なのか
どの方向なら現実的なのか
そもそも転職が必要なのか(配置換えや社内異動で済むのか)
このへんを軽くでも整理してから、勉強の内容を決めた方が、ムダが減ります。
そしてもうひとつ。「勉強=転職のためだけ」と決めてしまうと、学びが苦しくなりやすいです。学びって、本来もう少し広いものだと思うんですよね。転職のためにもなるし、今の仕事をラクにするためにもなるし、ただ自分の安心のためにもなる。
転職する・しないを急いで決めなくても、学びの順番が整うと、気持ちは落ち着きやすくなります。
状況を整理する(思考整理)
ここからは、僕の実体験も混ぜつつ、整理していきます。「みんなこうすべき」という話ではなく、「こうなりがちだよね」という話として読んでください。
転職を考え始めたきっかけ(実体験)
僕が転職を考え始めたのは、劇的な出来事があったわけじゃないです。仕事は回ってたし、生活もできてた。むしろ、外から見たら「普通に安定してるね」と言われるタイプだったと思います。
でも、ふとしたときに思ったんですよね。
「このまま何年も続けたとき、納得できるかな」って。
毎日が忙しいと、あんまり考えないで走れます。だけど、忙しさが落ち着いた瞬間とか、職場の空気が変わった瞬間とか、先輩の働き方を見た瞬間とか。そういうタイミングで“未来の自分”がちらっと浮かぶことがある。
30代になると、こういう“じわじわ系の不安”が増える気がします。若い頃みたいに勢いだけで動けないし、家庭やお金のことも現実的に考えるようになる。転職して年収が下がるのは困るし、無職期間が長引くのも怖い。
それでも「今のままでいい」と言い切れない。この中途半端な気持ちが、いちばん疲れるんですよね。
そして、この“疲れ”がある状態で「勉強しよう」とすると、たいてい方向がブレます。なぜなら、勉強の目的が「未来のため」じゃなくて「不安を消すため」になりやすいからです。
何を勉強すればいいか分からなかった話
転職サイトを見るじゃないですか。すると「必要スキル」って山ほど出てきます。
Excel(しかも関数とかVBAとか言い出す)
英語(TOEIC〇点以上みたいな世界)
IT(プログラミング、クラウド、SQL、データ分析)
マーケ(SEO、広告運用、SNS、CRM…)
資格いろいろ(簿記、FP、宅建、キャリア系…)
全部大事に見える。全部足りない気がする。そして不思議なんですけど、見れば見るほど「自分には何もない」みたいな気持ちになるんですよね。
で、僕はこう思いました。
「とりあえず“役に立ちそうなやつ”を勉強しよう」
これ、今思うと、だいぶ危ないスタートでした。
勉強って、やった感が出るんですよね。今日も前に進めた、みたいな。安心っぽいものが手に入る。
でも、目的がぼんやりしてると、勉強ってどんどん散らばります。散らばると、成果が見えない。成果が見えないと、焦る。焦ると、また別の勉強に手を出す。
これ、わりと沼です。
当時の僕は、たぶん「勉強がしたい」というより、「何かやってる状態でいたい」だけだった気がします。止まるのが怖い。だから動く。動ける形として勉強を選ぶ。そういう感じ。
実際に間違えたこと
僕がやった“間違い”を、恥を忍んで書くとこんな感じです。(あなたが同じことをしていても、責めたいわけじゃないです。むしろ、よく分かります。)
求人票のスキルをそのまま信じた求人に「〇〇経験」って書いてあると、そこを埋めれば勝てる気がする。「経験3年」とか書いてあると、「じゃあ3年分の知識を勉強すれば…?」みたいに考えたくなる。
でも実際は、企業が見てるのってもっとザックリで、「この人、入ってから動けるかな?」「任せても大丈夫かな?」「周りと一緒に仕事できそうかな?」そういう“全体の雰囲気”だったりします。
もちろんスキルは必要です。でも、スキルだけを増やしても「この人、現場でどう動くの?」が見えないと、評価が伸びない。これは後で痛感しました。
資格を取れば安心できると思った資格の勉強って、やることが明確なんですよね。教材があって、範囲が決まってて、正解がある。勉強時間が成果に見えやすい。
だから、迷ってるときほどハマります。
でも、資格を取った瞬間に転職できるわけじゃなかった。「で、次なにする?」ってなって、また不安が戻ってくる。
資格は悪くないんです。ただ、資格が強く効く職種もあれば、そうでもない職種もある。それを調べないまま「とりあえず」で取ると、心の支えにはなっても、転職の武器としては弱いことがある。
“自分の棚卸し”を後回しにしたこれがいちばん痛かったです。何を学ぶか決める前に、「自分が何をしてきたか」「何が向いてそうか」を整理するべきだった。
なのに、そこがふわっとしたまま勉強に逃げた。結果、面接で話す材料が薄い。職務経歴書の中身が増えない。勉強はしてるのに、転職が近づいてる感じがしない。
この状態って、地味にメンタルを削ります。「努力してるのに報われない」感が出やすいので。
今ならこう考える、という整理
もし今の自分が、あの頃の自分に声をかけるなら、たぶんこう言います。
「勉強はいいんだけど、いったん順番だけ整えよう」
転職って、突き詰めると「移動」なんですよね。移動って、目的地がぼんやりしてると、どの道を走っても不安になります。地図を見ないで走り出すと、ガソリンだけ減る感じ。
だから最初は、地味でいいので、これだけやる。
何がしんどいのか(ここが一番大事)
何が変わればラクになるのか
今の仕事の中で、嫌じゃない部分はどこか
これだけは避けたい条件は何か
逆に「これがあるなら頑張れる」条件は何か
ここが整理できると、転職の方向が見えてきます。方向が見えると、勉強も絞れます。絞れると、続きます。
あと、もう一段だけ深掘りすると、「しんどい」の中身って、人によって全然違うんですよね。
仕事量が多すぎる
人間関係がつらい
夜勤や交代制が合わない
評価が不透明で疲れる
将来性が不安
単純作業に飽きた
逆に責任が重すぎる
自分の時間がない
同じ「転職したい」でも、原因が違う。原因が違えば、必要な勉強も違います。
たとえば、人間関係がつらい人が、いくら資格を取っても、次の職場で同じことが起きたらしんどい。この場合は、スキルより「職場選びの目」とか「働き方の条件整理」の方が先かもしれない。
逆に、仕事内容に飽きた人は、環境を変えるだけでは満足できないことがある。この場合は、仕事の軸を変えるための“小さな経験”作りが必要になるかもしれない。
こういう整理って、派手じゃないけど効きます。そして、この整理ができると、なぜか心が少し落ち着きます。たぶん「自分が何に困っているか」を言葉にできると、人は安心するんだと思います。
選択肢を並べる(比較・判断軸)
ここから「じゃあ今ならどうする?」の話です。僕なら、勉強の前に、まずこの3つをやります。全部完璧にやらなくていいです。7割くらいで十分。
転職ってひとくちに言っても、実は2パターンあります。
仕事(職種)を変えたい
会社(環境)を変えたい
ここが混ざると、やることが増えすぎて疲れます。「仕事内容は嫌じゃないけど、残業と人間関係がしんどい」なら、必要なのはスキル学習というより、“環境選び”の目を育てることだったりします。
たとえば環境を変えたい人が最初にやるべき勉強って、こんな感じです。
求人票のどこを見ると「忙しさ」が想像できるか
会社の口コミや情報の読み方(鵜呑みにしない前提で)
面接で「働き方」をどう確認するか
自分が譲れない条件の決め方(残業、勤務地、休日、転勤など)
こういうのって、学校では教わらないけど、転職では超大事です。でも多くの人が、ここを勉強せずに「スキル不足かも」と思い込む。これが、最初の勉強を間違えがちな理由のひとつだと思います。
逆に、職種を変えたい人は、こんな整理が先になります。
未経験で入れる入口はどこか
いきなり理想を狙わず、段階を踏めるか
その職種の「成果の出し方」を理解できているか
何を作る/何を改善する仕事なのか、イメージできるか
職種変更って、夢がある反面、準備が散らばりやすい。だからこそ最初は「入口」を探す勉強が効きます。
自己分析って聞くと身構えるんですけど、やることはもっと地味でいいです。
よく任されてた作業
困ったときに頼られてたこと
自分なりに工夫してたこと
逆に、消耗した場面
「あの仕事だけは嫌いじゃなかった」みたいな記憶
「あの瞬間、ちょっと誇らしかった」みたいな小さな成功
ポイントは、“盛らない”こと。転職の自己PRって、立派な言葉にしようとすると薄くなりがちです。それより、現場っぽい言葉の方が伝わることが多い。
たとえば、
「ミスが出やすい工程を、チェック表で減らした」
「新人が詰まるポイントをメモにして引き継いだ」
「クレーム対応で、相手が怒ってる理由を整理してから話した」
「在庫の数え間違いが多かったのでルールを変えた」
こういうの、派手じゃないけど、仕事ができる人の匂いがします。
あと、30代って、スキルだけじゃなくて“仕事の進め方”が価値になると思うんです。期限を守る、報連相ができる、周囲と折り合いをつけられる、段取りができる。これって当たり前に見えるけど、当たり前じゃない。
だから、強みを探すときは「自分が普通にやってたこと」を疑ってみるといいです。自分にとって普通なことほど、他人にとっては価値だったりします。
そしてこの棚卸しは、職務経歴書を作るときにそのまま使えます。転職って、最終的に文章で伝えることになるので、素材があるだけで心の余裕が変わります。
これ、ほんとにおすすめです。応募しなくていい。読むだけ。
転職サイトで検索条件を変えながら眺めるだけでも、かなり見えてきます。「自分はこれが嫌なんだな」とか、「この条件なら少し気持ちが軽いな」とか。
見るポイントはこんな感じ。
「必須」と「歓迎」を分ける
年収の幅を見て現実感を持つ
仕事内容が具体的か(ふわっとしてないか)
その会社が誰に困っていそうか(募集背景が書いてあるか)
どんな人が合いそうかを想像する
逆に、合わなさそうな理由も言葉にする
そして、できれば「3日だけ」でもいいので、同じ職種の求人を連続で読む。連続で読むと、共通する言葉が見えてきます。
たとえば、営業なら「新規」「既存」「ルート」「提案」「KPI」。事務なら「受発注」「請求」「調整」「サポート」。製造なら「改善」「安全」「品質」「標準化」。ITなら「要件」「設計」「実装」「運用」「チーム開発」。
共通ワードが見えてくると、「あ、自分が勉強すべきなのは、この言葉の意味を理解して、少しでも触れてみることなんだな」って絞れてきます。
つまり、求人を読むこと自体が「勉強の設計」になる。いきなり教材を買うより、こっちが先の方がムダが少ないです。
判断するときの注意点
ここは、タイトルっぽく区切るより、会話みたいに書きます。転職の勉強って、良い方向にも行くし、しんどい方向にも行く。分かれ道があるので。
流行りのスキルに飲まれそうになるとき
SNSで「これからは〇〇!」って流れてくると、焦ります。「置いていかれる」みたいな感覚になることがある。
でも、流行りは“入口”にはなっても、全員の正解じゃないです。むしろ、流行りに飛びついた人が増えるほど、同じ武器の人が増えるので、戦い方が難しくなることもあります。
じゃあどうするかというと、ここで一回だけ問い直すのがいいと思います。
自分は「何を変えたい」んだっけ
変えたいのは職種?環境?
そのために必要なことは、流行りスキルなのか、別のことなのか
この問いに戻れると、流行りを見ても揺れにくくなります。揺れてもいいんですけどね。揺れたあと戻れる場所があると安心です。
勉強してるのに不安が消えないとき
勉強って、本来ちょっと安心できるはずなんですよね。なのに不安が増えるときは、だいたいこういうことが起きています。
学ぶテーマが増えすぎて、終わりが見えない
目的がぼんやりしていて、効果が実感できない
比較対象が「求人」じゃなくて「SNS」になっている
勉強が「逃げ場所」になっていて、現実(応募・面談・職務経歴書)に触れられていない
このときは、勉強量を増やすより、いったん方向を戻した方がラクです。「自分は何を変えたいんだっけ?」に戻るだけでも違います。
あと、勉強のゴールを小さくしておくのもおすすめです。
今日は求人を10個読む
職務経歴書のメモを3行だけ書く
休みの日に30分だけ学ぶ
1週間やってみて、合わなかったら変える
こうやって“引き返せる設計”にすると、気持ちが追い詰められにくいです。30代は生活もあるので、追い詰めない設計が大事だと思います。
資格について、少しだけ冷静に
資格が強い仕事もあるし、ほぼ効かない仕事もあります。これは本当に職種次第です。なので、「資格を取る」と決める前に、できればこれを確認したい。
その資格が「応募条件」に書かれている求人がどれくらいあるか
未経験の場合、資格があると面接に呼ばれやすいのか
資格を持ってる人が、実務で何をしているか
資格がなくても入れる道があるのか(あるなら、その道の方が早いかも)
資格の勉強は、取り組みやすい分、時間も吸いやすいです。だからこそ「取る」と決める前に、求人を見て“効き方”をチェックする。これだけで後悔が減ります。
そして、資格が効かない職種でも、資格勉強がムダとは限りません。学びの過程で「自分はこっちに興味がないな」と分かることもある。それって、地味だけど大きい発見です。30代が「最初に勉強すべきこと」を間違えやすいのって、たぶん真面目だからだと思います。
早く状況を変えたい。でも失敗したくない。だから“正解の勉強”を探してしまう。
でも実際は、スキルの前に、
自分は何を変えたいのか
どんな働き方が嫌なのか
どの方向なら現実的なのか
この整理が先だったりします。
整理って、地味です。でも地味なことほど、あとで効きます。方向が見えると、勉強が絞れます。絞れると、続きます。続くと、少し自信が戻ってきます。
そして最後に、いちばん大事な視点をもう一度。
勉強って、転職のためだけじゃないです。今の職場で息をしやすくするためにもなるし、自分の選択肢を増やす“保険”にもなる。
転職するかどうかは、すぐ決めなくていい。ただ、落ち着いて考えるための材料を、少しずつ増やしていけばいいと思います。
もし今あなたが「何を勉強すればいいんだろう」と迷っているなら、最初の勉強は、スキルより先に「自分の状況を言葉にすること」からでも大丈夫です。
そこが少し言葉になったとき、次に学ぶべきことは、案外勝手に見えてきます。


